JA:Ortho mapping
オルソ化空中写真ダウンロードシステムは、国土交通省国土計画局が2006年(平成18年)から2010年(平成22年)3月31日まで公開していた日本全土を範囲としたオルソ化空中写真の公開システムです。1974年(昭和49年度)から1991年(平成2年度)にかけて撮影した日本国土の空中写真をデジタル化、オルソ化して公開されていました。2006年中にはダウンロードシステムのみ公開され、2007年3月26日よりWMSの公開がされていました。
当初は空中写真だけが公開されており、後に衛星画像、WMSも追加されました。縮尺を1/100,000〜1/1,000,000にすると衛星写真、1/5,000〜1/10,000では空中写真が表示されるようになっていました。
ダウンロードシステムでは地図や、様々な国土数値情報のレイヤーを重ねて閲覧することができるようになっていました。
精度
オルソ化空中写真は1/10,000の精度でとった空中写真をオルソ化した物です。写真撮影の縮尺は1/8000〜1/15,000、スキャン解像度は800dpiであることから、高解像度画像では単純計算で1m/pxの精度となります。しかし写真ごとの解像度の差や、各変換作業での精度劣化も考慮する必要があるため、実際の精度はより粗いものとなります。
ホームページに記載されていた計算精度は以下の通りです。
- 高解像度:1m/pixel
- 中解像度:2m/pixel
- 低解像度:4m/pixel
WMSではさらに大きくずれているところもあり、実用上は10m〜50mほどの誤差があったようです。
撮影年度について
2000年代に入ってから、数十年前の写真を公開しており、かつ新しい写真が無いのは、公開している写真が旧国土庁時代に撮影された物で、それ以降は空中写真を扱うのが国土地理院へと移管されたため、このシステムへは取り込まれませんでした。
レイヤー
ダウンロードシステムで閲覧できたレイヤーは以下の通りです。
- 空中写真レイヤー
- 衛星写真
- 空中写真
- 1974(昭和49)- 1978(昭和53)年
- 1979(昭和54)- 1983(昭和58)年
- 1984(昭和59)- 1986(昭和61)年
- 1987(昭和62)- 1990(平成2)年
- 地図レイヤー
- 行政界
- 公園等場地
- 河川
- 道路
- 鉄道区間
- 写真枠
- 駅
- 公共施設
- 地名
- 行政代表点
検索
ダウンロードシステムは、ドラッグで移動するタイプの地図が一般的ではなかった頃に作られたシステムです。お気に入りの地点を登録したり、住所、郵便番号、ランドマーク、キーワードで地図上の位置を検索できるようになっていました。郵便番号検索は2008年に追加された物です。
座標系
平面直角座標系と、緯度経度が選択できるようになっていました。
WMS
バージョンと緯度経度
オルソ化空中写真ダウンロードシステムのWMSはversion1.3.0を固定で呼び出すものでした。このような仕様になった理由はよくわかりません。通常のWMSサーバで1.3.0のリクエストを受けられる物は1.1.1のリクエストも受けられます。Version1.1.1と1.3.0では範囲指定の順序が異なっています。
- WMS version1.1.1
- bbox={minLon},{minLat},{maxLon},{maxLat}
- WMS version 1.3.0
- bbox={minLat},{minLon},{maxLat},{maxLon}
WMSのバージョン違いから、JOSMのWMS Plugin や、OpenLayersからは簡単に利用できませんでしたが、JOSM 2450以降ではWMS pluginで緯度経度の入れ替えができるようになり、OSMから利用できるようになりました。
OpenLyersでは1.9α(2009年11月頃)からWMS レイヤーのxy座標入れ替えに対応するようになり、利用できるようになりました。
投影法
オルソ化空中写真ダウンロードシステムのWMSはEPSG:4612固定となっていました。このため、直接GoogleMap(EPSG:900913) やOSMのタイルサーバ(EPSG:4612)とは厳密には重ねることができません。しかし実用精度が数10mであることを考えると、EPSG4612とEPSG4326はほぼ同じ座標系として扱えるため、JOSMやOpenLayersで利用が進みました。
OSMとオルソ化空中写真
OSMではヨーロッパのいくつかの国及びアメリカ、カナダ、オーストラリアなどにおいて、国が提供する高解像度の衛星写真を元にマッピングが広く行われていました。日本の場合、自由に利用できる衛星画像には解像度が低い物しか無く、数百m程度のかなり粗い精度でマッピングするか、GPSロガーを使用するかのどちらかだったものが、オルソ化空中写真のWMSを使用できるようになったことで、古墳、河岸など、歩いて入るのが難しい箇所のマッピングが進みました。
ダウンロードシステムの略歴
- 2006年(平成18年)3月31日 - システム公開
- 2006年6月1日 - IE7に対応
- 2007年3月26日 - WMS公開
- 2007年10月27日 - 関東、北陸、中部地方のオルソ化空中写真追加、衛星写真追加公開。
- 2008年2月16日 - 関東のオルソ化空中写真追加
- 2008年3月15日 - 西日本のオルソ化空中写真追加、郵便番号検索などの機能追加
- 2009年3月20日 - 東北のオルソ化空中写真追加、衛星画像追加
- 2009年8月21日 - 北海道のオルソ化空中写真追加
- 2010年02月24日 - 3月31日でのシステム運用停止発表
- 2010年02月26日 - 北海道のオルソ化空中写真追加登録
sourceタグ
オルソ化空中写真を使ってトレースした道路や鉄道、地形、建物、さまざまなPOIなどには出典元を表わす以下のsourceタグを付ける必要があります。
source = NRPB of MLIT Japan
source:ja = 国土画像情報(オルソ化空中写真)国土計画局
※オルソ化空中写真の利用開始当初はsourceタグに
"source = MLIT Japan、
source:ja = 国土画像情報(オルソ化空中写真)国土交通省"
を使用していましたが2010年3月末のオルソ化空中写真ダウンロードシステム(国土計画局)終了に伴い、国土計画局がデータ公開していた時期のオルソ化空中写真を使用していることを明確にする為、データ公開元が国土計画局とわかる推奨sourceタグに変更しました。
[OSM-ja] オルソ化空中写真の今後の利用について(2010/3/8) http://lists.openstreetmap.org/pipermail/talk-ja/2010-March/002650.html
TurtleEggs 再配布
国土計画局様に、再配付可能であると確認されたので、CommonMapのTurtleEggs 地図イメージ提供P2Pグリッドで一部が利用可能です。
(20100809 サーバが不調のため、暫定的な新URLを用意しました)
Potlatch
カスタム背景に、http://38.127.225.239/TurtleEggs/?MLITJ/!/!/!- カスタム背景に、http://osm-ja.sourceforge.jp/cgi-bin/mlitj
JOSM
最新版での設定方法
JOSM本体にWMSの画像処理プラグインが取り込まれているバージョンでは、以下の方法で設定します。バージョン3776で確認しています。
- 編集->設定を選択する(F12キーでも可)
- WMS TMSと書いてあるアイコン(左下の方)をクリックする。
- Imagery Preferenceメニューが表示される
- 「追加」ボタンをクリック
- 「メニューの名前」にImagery Preferenceで表示されるメニューを記入
- 「WMS URL」に、「http://osm-ja.sourceforge.jp/cgi-bin/mlitj/{zoom}/{x}/{y}.jpg」を記入
- 設定を保存
旧バージョンでの設定方法
- SlippyMap プラグインをインストールし、
- 詳細設定で、
slippymap.custom_tile_source_1.name=NRPB of MLIT Japanslippymap.custom_tile_source_1.url=http://38.127.225.239/TurtleEggs/?MLITJslippymap.custom_tile_source_1.url=http://osm-ja.sourceforge.jp/cgi-bin/mlitj
を指定し、
- 再起動し
- 設定のSlippyMap プラグイン用設定でNRPB of MLIT Japan を選びます。